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宝塚初心者によるエリザベートの感想。

9月22日(土)に宝塚大劇場月組公演 『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』 | 宝塚歌劇公式ホームページを観劇しました。

このエリザベート観劇は、私にとって特別で忘れがたい劇場体験となりました。というのも、今回私は初めてのひとり観劇で、初めてのS席で、初めての宝塚版エリザベートだったからです。本当に素晴らしくて、ずっと夢心地でした。「ああ、この舞台がずっと続いてくれたらいいのに。終わらないで。」と何度願ったことか。

観劇後の現在、iTunesで2016年宙組版のエリザベートの音源を購入し、毎日聴いています。 CD発売まで我慢ができませんでした!だからなのか、1週間経つ今もまだ、エリザベートの余韻が抜けません。こんな気持ちになったのは、今から8年ほど前の中学2年生の春休みに、劇団四季の名古屋劇場(当時は伏見)で見た『オペラ座の怪人』以来です。今の私は、クリスティーヌに出会ったファントムもしくはエリザベートに出会ったトート状態です。そのため、勢いで宙組公演 『白鷺(しらさぎ)の城(しろ)』『異人たちのルネサンス』 | 宝塚歌劇公式ホームページのチケット買いました♡

さて、忘れがたい劇場体験になった理由はもうひとつあります。それはキャスト変更です。その日は美弥さんの体調不良によるキャスト変更があった日でした。

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つまり、私の初めての宝塚版エリザベートは、DVD/CDなど出回る円盤の記録には残らないキャ スティングの回だったのです。(みやさんを始め関係者ファンの方々には申し訳ない気がします が、、、。でもみやさん復帰されたみたいで良かったです^^) そこで、私の気持ちが新鮮な今のうちに、「宝塚のエリザベートはこうあるべきだ」という固定概念?が生じていない今のうちに、宝塚版エリザベート初体験の私の感想を書いておこうと思います。

はじめに:私と宝塚とエリザベート

私の初めて&直近の宝塚体験は、今年の5月末に見た星組公演『Another World/Killer Rouge』です。同じ学科だった大学の先輩に導かれて観劇しました。この時も「宝塚楽しい!また見たい!」と思ったのですが、何せ当時の私は就活でバタバタ(そう私は大学4回生です)。就活に加え、大学のゼミもあったので(就活は終わったけどゼミは今もある)、中々劇場に戻ってこれませんでし た。なので、今回のエリザベートが4ヶ月ぶり2回目の宝塚観劇です。そして私はまだまだ宝塚初心者なのです。 といってもエリザベート観劇経験はありました。東宝版のエリザベートを、高校生の時に中日劇場で(この劇場も今は無い..)で見たからです。宝塚には詳しくないけどエリザベートはちょっと知ってる、そんな状態でエリザベート鑑賞に参りました。
ではここから、具体的な感想を述べていきます。

寄り添いたくなるキャラクター達。

エリザベートの登場人物たちって、演じ方や我々の見方・アプローチの仕方によっては、全く共感 できない人物・観劇者側の我々とは違う人間だと一歩引いて見てしまう人物になってしまうと思 うんです。そもそもエリザベート自己中やろ~、とか、どうせトップ層は我らパンピーと違って大 変なんでしょハイハイ、と思いかねないというか。でも、今回の月組公演のエリザベートでは、そんな事は全く感じなかったです。むしろ、共感できて応援したくなるキャラクター像でした。エリザベートもフランツもルドルフも、みんなそれぞれの状況でベストを尽くそうとしているのに、 どうして上手くいかないの...みんなを幸せにしてあげて...と思わず祈りたくなる感じ。
こういう思いが芽生えたのは、やっぱりジェンヌさんたちのお力のお陰でしょう。 

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月城さんフランツは良い人だけど。

月城さんフランツはとっても綺麗なお顔で、かっこいい!イケメンというよりハンサムな感じ。そんな月城さんフランツを見て、誰に対しても優しくて良い人であるのがフランツなんだろうな、という印象を受けました。みんなに対して良い顔をしているから、その分、気苦労や疲れも多そうと、勝手に憂慮してしまいました。だからこそ、フランツが結婚式の夜にお母さんとの会話内容や、“宅配”を受け取ってしまったことにも納得がいきます。あのフランツならやりかねん、みたいな。
そんなわけで、今回の観劇を通して「良い人≠自分にとっての良いパートナー」ということを肝に命じました。親に背けない大人、とくにマザコンだめ絶対。

「私だけに」は人生のテーマソング。

愛希さんのエリザベート、本当に凄かった。特に、1人の女性が成長成熟していく様子の表現力!少女時代はジャジャ馬でおてんば娘なのに、劇が進むにつれ、品格と貫禄の溢れる大人の女性へと、ナチュラルに移行していてビックリ。それでもって、全体を通して生命力に溢れている。その中でも私が1番心を打たれたエリザベートのシーンは、結婚したての頃に歌う「私だけに」のシーン。歌から、自由に生きることを諦めない強さと、長いものには絶対に巻かれないという反骨心? みたいなものを感じ取れたからです。私は来年の4月から会社員になるけれど、今のこの「私だけに」のシーンで見たこと聴いたこと感じたことは絶対に忘れちゃダメだ、と思いました。この厳しい世の中を生き抜いていくには「私だけに」で歌われている精神が必要となるのではないで しょうか。

Death Himselfとトート

変化していくエリザベートに対して、珠城りょうさんのトートからは、不動・静・落ち着き払った印象を受けました。必要以上に感情をむき出しにしないトートだったと思います。私、そんなりょうさんのトートを見て、やっとこさ、トートは概念であるということ・Death Himeselfであるということ、の意味を理解できたような気がします。東宝版エリザを見た高校生の時の私は、こういったことを全然意識できていませんでした。単なる三角関係の恋愛ドラマだと捉えていたのです。でも今回の公演で、エリザベートの深い内容にも考えを及ばすことができ、同時に、自分自身のその変化?成長?具合にびっくりしました。東宝版を見た時の、高校生の頃の私が割と浅はかだったというのもあるかもしれませんが、高校・大学と自分なりに経験を積んで、いろいろと思うことや考えが溜まった状態で観劇できたから、今回のこのキャスティングでの舞台が、こうも突き刺さったんでしょうかね。いずれにせよ、見るべき時に見るべきものを見られた♡ナイスタイミング♡ありがとうございます♡という気持ちでいっぱいです。

最後のダンスがすき。

個人的には、宝塚版の「最後のダンス」の振付演出の方が、本家ウィーン版や東宝版のよりも好きです!もし映像だったら、ウィーン版・東宝版の振りの方が色っぽくて絵になるかもしれないけれど、舞台で見るんだったら、宝塚版の「最後のダンス」の方が楽しいなと感じました。舞台空間を満遍なく上手に使っている感じがしませんか?

おわりに:宝塚は最高!

宝塚版エリザベートで私が好きな点のひとつに、一体感があります(これは宝塚の他の作品でも言えることですが)。ジェンヌさんたちはもちろん、客席の一体感も最高です。特にフィナーレ(名称あっているのかな?カーテンコールに当たる時間です)での惜しみない拍手と手拍子。ちなみに私は、フィナーレの最中に「来世に期待」ならぬ「黄泉の国に期待」というフレーズを思いつきました(既にあるかもしれない)。 とにかく、大劇場でのエリザベートの時間を思い出すと、今でもうっとりとした気持ちに浸れます。 素晴らしい舞台を見せてくださったジェンヌさんたち・スタッフの方々はもちろん、宝塚関係者 の皆様、並びに私のチケットを確保してくれたお友達には感謝の気持ちで一杯です。こんな贅沢な 観劇体験をできた私は本当に幸せ者です。