雨の日でも幸せを感じる時は。
雨の日は好きじゃない。
まず雨の日の朝は、全然起きられない。無事に布団を抜け出せたとしても、注意を怠れば、通学中に鞄の中身が雨にやられる。教科書や本などの紙類がフニャフニャになり、化粧ポーチやペンケースは湿気で水分を含み始める。履き物は泥や水で汚れる。自分自身も思わぬ所で滑って転びそうになる。何度ヒヤッとしたことか。それに、日中であっても眠気が襲ってきて、ついついボーーーとしてしまう。だから私には、映画『言の葉の庭』の主人公たちみたいに、雨を待ちわびる日は来ないだろう。
でも雨の日でも夕方以降は、まあまあ気分が良くなってきて、ボーとしている時も減る。輪郭がぼんやりした薄暗い世界が好きだからだ。藤色っぽい空の色、濡れた葉っぱ、ボワッとした灯の組み合わせが特に好き。そんなパキッとはしていない、曖昧な風景を見られると、まあ雨でもいっか、という気持ちになる。